
「病気等で体力が衰えたときにこれを補い、急性の疾患では内臓の機能を補って気力・体力をつけ、肌肉を良くする。久しく服用していると耳や目の働きが良くなり、身が軽くなり、飢えに苦しむことがなく長寿を保てる。」
(『神農本草経』より……中国で記された世界最古の薬学書)
「とろろ汁折々少し食すれば脾臓(ひぞう)の薬,気虚を養う」
(『和歌食物草子』より……著・貝原益軒(1630-1714)
江戸時代初期から中期にかけての儒学者。博物学者。庶民教育家。自然科学でも広範囲な業績をあげた。) 「芋粥とは山の芋を中に切込んで、それを甘葛の汁で煮た粥のことを云ふのである。当時はこれが無上の佳味として、上は万乗の君の食膳にさへ、上せられた。」
(『芋粥』より……著・芥川竜之介)
などと、昔からその効能がうたわれている自然薯。主に「滋養・強壮・強精」の効能で有名です。
滋養…たんぱく質・ビタミン・ミネラル等、それ自身の栄養価が高いということも上げられますが、消化酵素アミラーゼを高率に含んでいるということも大きな特徴です。アミラーゼはお米などのデンプンを糖質に分解する酵素です。一緒に食べた食品の消化を促すことで栄養効果を高めることができます。内臓全般に幅広く効用をあらわし、貧血や高血圧の予防、神経痛、腸ガンの予防に役立つと言われています。 安藤広重の「東海道五十三次」で描いた「鞠子宿」には店先で旅人が麦とろを食べている様子が描かれていますが、疲れの出た旅人が峠を超える前に、麦とろで精をつけたのだと伝えられており、やはりここにも自然薯の滋養の力が現れています。
強壮…「ぬるぬるとしたものは体に良い」などとも言われますが、自然薯のヌルヌルにも体に良い物質が含まれています。粘り気の秘密はムチンという物質で、たんぱく質を無駄なく活用させ、新陳代謝や細胞の増殖機能を促進させ、常食すると、基本体力を増強し、虚弱体質・呼吸器障害・ノイローゼ等に効果があると言われています。 「山薬」「じょよ」「唐薬」などと呼ばれ、漢方薬として強壮・滋養剤に使われています。
強精…生殖機能を高めるアルギニンを豊富に含有すると共に、アミラーゼ・ウレアーゼ・オキシターゼ・グリコシターゼ・タカラーゼ・ポリフェラーゼ等、多彩な酵素が生態の生合成力を高めて精力、スタミナの増強に効果を発揮すると言われています。貝原益軒の「養生訓」ではとろろで精力がつきすぎ、世の男女関係が乱れるのを心配したというくだりがあります。
最近になって自然薯だけに含まれる「ディオスゲニン」という物質が、若さの維持やホルモンバランスに関係しているDHEAを増やす役割があるということも分かってきました。 |